第4話 縁結びの神様

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 今なんとなく思い浮かんだのはコーヒーメーカーとミキサーだ。  最近たくさん出てきた、楽して時短料理ができる優れものの類も考えたけど、千鶴さんはああいうのは欲しがらない気がする。  というか、あまり知らない気がする。  コーヒーは普段から飲むし、ミキサーでスムージーを作る、というのもありそう。もうこの二択に賭けよう。  さっきの会話の流れだとコーヒーメーカーが有力だけど、だからこそそれを避けるような気もする。  さっき僕が自分と縁のないスポーツを選んだように。  いや、でも僕の知ってる千鶴さんは、そういう裏をかく的なことはしない気がする。  純粋に気になるものを思い浮かべる、そういう人だ。そういう人であってほしい。 「じゃあ、回答します」 「お、決まった? さぁ、なんでしょう」 「コーヒーメーカー」 「おぉー、正解! よくわかったね」  当てられてもちっとも悔しそうじゃない千鶴さん。  祝福してくれるのは嬉しいが、これはどういうことだろう。  四回目の質問で正解したわけで、千鶴さんはこの時点で勝てると確信したのだろうか。
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