39人が本棚に入れています
本棚に追加
僕たちはその人について歩き、社務所の奥にある事務室に通された。
そこにはもう一人、巫女さんがいた。この人も僕や千鶴さんと歳が近いように見える。
「どうぞ、おかけください。この度は、無理を言ってこちらまで足を運んでいただき、誠にありがとうございます」
巫女さんが丁寧な口調で僕たちに椅子を出してくれた。
言われるがまま座る。なんだか少し緊張する。
「本日は急なご連絡にもかかわらず、お越しいただきありがとうございます。私が先ほどお電話した、渡会です。今はここで、神職に就くための勉強中です」
「私は吉井といいます。アルバイトではありますが、巫女の仕事をしています」
電話越しに感じた切羽詰まったような雰囲気はなく、落ち着いた様子の二人だった。
そのあたりは神社で働いているだけのことはある、ということか。
僕たちもいつも通りの自己紹介をする。
どうやらこの二人も今井探偵事務所のことは知っていたようで、話は早かった。
「それで、今回のご用件はどういったものでしょう」
あいさつが終わってすぐに、千鶴さんが切り出した。
僕たちはまだ、何用で呼ばれたのかがわかっていないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!