第4話 縁結びの神様

23/54
前へ
/266ページ
次へ
「はい。端的に申しますと、探し物をしてほしいのです」 「探し物、ですか。それは、紛失したものを探すのですか。それとも、隠されているものを見つけ出すのですか」 「えっと、後者、だと思います」  僕は前者のことしか考えていなかったが、そういうこともあるのか。  しかしなんだか歯切れが悪い。 「思います、というのは……」  当然のように千鶴さんも疑問を口にする。  これには吉井さんが答えた。 「このようなものが、本殿の中から見つかったんです」  吉井さんが見せてくれたのは、折り目がたくさんついた一枚の紙切れだった。  色あせて端が少し破れている。紙切れという表現が最適だと思った。 「これは、この神社の地図ですか」 「そうです。ただ、現在のものとは少し違います」 「このバツ印はなんですか」 「そこには物置として使用している倉があります。ただ、その場所には特に変わったものはなく、我々が把握しているものしかありませんでした」 「この意味深な文はなんでしょう」 「それの意味するところが、私共にはわからないのです。ただ、その言葉の意味が分かれば、バツ印についても何かわかるんじゃないかと……」  つまりは宝探しということなのだろうか。  探し物は神社の備品というか、この神社が所有する何かなのだろうけど、それが何なのかもわからないし、どこにあるかもわからない。  そもそも、存在するかどうかもわからない。そんな感じか。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加