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「ルア様、いる?」
天の助けだ。サリアがちょうどよく来てくれた。
「今日はバレンタインデーでしょ? だから、はいチョコ!」
皿に泥んこのようなチョコが盛られている。相変わらず料理だけは下手だな、サリアは。
「サリアさん! 私の方が先にルア様にチョコを渡しに来たんです。まずは私のチョコから!」
「だからいらないって。三度目だぞ」
「サリアさんのは食べるんでしょ? ルア様」
ぷくー、と頬をふくらませるハク。自由に感情表現できるこいつがうらやましい。
「無論だ。お前のは食べないが、サリアの作ってくれた料理やお菓子は食べる。たとえどんな形状でもな」
ハクはますます頬をふくらませる。
オレは無視してサリアの持つ皿に盛られた泥んこみたいなチョコを指ですくってなめた。
「おいしい?」
「うん」
見た目はチョコが溶けた形状だが、味は問題ない。だからオレは素直に美味いと答えた。
サリアは頬を赤らめ嬉しそうに笑った。
癒しだな、こいつは。
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