願い事

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神様なんて信じない。 私の母親は毎朝毎朝、空に向かって祈りをささげるのが日課である。 宗教のいかれてる人です。 母親はこの地域ではかなりの勢力がある宗教団体に所属している。しかも その団体のリーダーを仕切っているのでこの人を怒らせたら「死」を覚悟すると メンバーから言われていた。 また、政治の人とも関係を持っているという噂がある。 宗教も興味がない私を毎朝母親に祈りをやらされる毎日、、 こんな生活が続くのも十年近くたつ。 もう限界だった。 そんなある日、団体の一人(男性)が殺人の事件を起こして逮捕された。 殺害されたのは男性の付き人であり、口論が収まらず、怒りが頂点に達した状態になり 殺害を犯してしまったのである。 そんな情報は世間に広まるのも時間の問題だった。 家の周辺にはリポーターとカメラの大群が 慌ててテレビをつけると家の周辺が写っていた。 そのあとは大変だった。 玄関のドアを開けて大量のカメラの前で謝罪をした後、何個かの質問に答えて 一時間の取材を受けた。 私はリビングのソファでじっと待つことしかできなかった。 外に大量のカメラと人がいるんだと思うと体がぞっとして寒気が止まらない。 吐きそう、吐きそう、吐きそう。 自分の胃が反対になったかのように気持ち悪さが続いていた。 そのあとも地獄だった。 学校中にこの事件が広まり、殺害者の娘と言われるようになった。 そもそも、宗教の娘と周りからは嫌な目で見られてはいた。たまに金持ちだからと金を盗まれることはあったが、この事件によりエスカレートするようになった。 いじめ、窃盗、影口。 先生は味方についてはくれずに「先生もいろいろあってね、PTAの方々があなたを警戒しているから問題ごとにはしたくないのよ、。」 だけど、学校には行った。 頑張っていった。 けど、一か月だけ。。 それが私の限界だった。 学校に行かず、勉強もしない。 そんな私は家で何をしているのかというと 神様に祈りを捧げていた。 あの狂った母親と同じように、いや、格が違った。 表情は鬼のように、感情は怒りを超え、手首には複数の数珠を、母親よりも長く。 「神様、神様。 どうかこのクズみたいな世界が滅びるようにお願いします・・・神様神様・・・」 こんなことして意味があるのか、神様なんていないのに。
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