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高層ビルや商業施設などを彩る、電光掲示板。
書店の店頭に並べられた、ファッション雑誌。
家電量販店に設置してある、数台のテレビ。
電車の手摺付近にある小さな広告や、スマホの隅に流れるちょっとした広告まで。
日常生活を送る上で、彼を見ないタイミングはほとんどと言っていい程ない。
それくらい今大注目の人気モデル、“NAO”。
「かっこいいなぁ、“直”。」
画面や紙越しに“NAO”を見る度、僕は誇らしくなるのと同時に・・・ちょっとだけ寂しくなる。
僕が知ってる“笹浦 直”が、どんどん遠くに行ってしまうような気がして。
「昔は僕が一歩先を歩いてたはずなんだけどなぁ。」
『まって、あきちゃん!!』と僕を追いかけて来ていたはずの直。
でも、いつしか直は僕より一歩先に・・・いや背中すら見えなくなる程先に進んでいた。
まるで僕なんていらない、とでも言うように。
「・・・まぁ、ただの幼馴染がいつまでもずっと一緒にいられる訳がないもんな。」
そう無理矢理言い聞かせ、微かに痛む胸に蓋をした。
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