男に夢見てんじゃねーよ

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「もーほんとない、 暁くんほんとにない。」 わたしはクッションを 抱き締めてため息。 いつからこんなアホな 子になったの、暁くん。 昔は、 「みーやびっ、 一緒にあそぼーっ??」 って天使のスマイルで 誘ってきてくれたのにっ! それが!! なんで!!! 「雅が男に夢 見すぎてんだって。 男の頭の中なんて 8割エロですよ。」 こんなこと言うように なっちゃったの!!! 「そんなことないもん、 ちゃんとした人だって いるもん。」 わたしがほっぺを 膨らませると、 暁くんはわたしの隣に ドサッと座ってニヤリ。 「雅、気付け、 現実世界に風早くんは いない。」 「やーーめーーてーーっ! 夢ぐらい見させてーっ!」 『君に届○』は女の子の バイブルなんだからーーっ! 何が楽しいのか、 暁くんはいつもこうして わたしの中の男の子の 理想像をぶっ壊そうと してくる。 特に同学年の男子なんて 暁くんのせいでもはや 性欲の塊にしか見えない、 ごめん盛りました。 とにかく全部暁くんの せいなんですっ! 「もー暁くんの相手 やだっ。 あ、もうこんな時間? お風呂入るから 自分の家に戻る。」 わたしはすくっと 立ち上がって伸びをひとつ。 早く入らないと見たい ドラマが始まっちゃう。 暁くんは「んー、」 というと、 わたしの足をポンと 蹴った。 「家に戻ったらちゃんと 鍵閉めとけよ。」 「わかってるってばー。」 「それで前閉めて なかったのは誰だよ。 なんなら俺が一緒に 雅の家に行きましょーか? 背中流しのオプション 尽きで。」 暁くん、ニヤリ。 わたし、あっかんべ。 「オプションが あり得ないから一緒に 来ないでくださいっ! あっ、あとで現国の ノート見せて! あっ、でもドラマ 見ないといけない、」 「はいはい、 ドラマが終わってからで 大丈夫ですよ、 じゃ、また後でな。」 暁くんに送り出されて わたしはようやく自分の 家に戻った。 暁くん、優しいんだけど 変態なのがいけない。 まーったく、 どーしてあんな性格に なったのやら。 「って、ドラマ 始まっちゃう!!」 こうして、 わたしはドタバタと お風呂に入ったのでした。
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