男に夢見てんじゃねーよ

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――――――――― ――――――――――――― さて。 女の子にキャーキャー 言われたいって言ってた 暁くんですが、 学校ではもう十分に モテてますっ。 今日だって古典の授業が 終わって音楽の移動教室の 時にクラスの子たちが 騒いでたもん。 「早川くん、眼鏡かけて 悩んでる時の顔がまじで 尊いんですけど!」 「普段テキトー人間なのに 眼鏡かけてるときはすっごい 真面目に見えるよねー! ギャップやばいっ!」 「なんかエロ保健医 って感じ!」 「分かる!!! 言いたいことわかる!」 こんな感じでね! ちなみにご本人になんで コンタクトにしないで 眼鏡かけてるのかちょっと 聞いてみたら、 「そこまで目悪くないし、 眼鏡の方がインテリ っぽくてかっこよくね? ギャップ狙うわ。」 って回答がありました。 暁くんすごいね、 狙い通りだよ、 ナルシですか?? そんな暁くんはただ今 昼休みに友だちと花札に 興じてますっ。 「しゃっ!! 旭日(あさひ)の猪鹿蝶 割った!!」 「あーーっ!! 暁なんでオレの狙ってる ヤツばっか取るのっ!」 「あ、暁すまん、 盃はもらってくわ(笑)」 「は!? ふざけんな桜も月も 揃えたのに盃返せよ、」 「無理言うな(笑)」 「やったーーーーっ!! 見てみてみてみて、 七短っ、七短そろった! 俺の勝ちじゃね!?」 「タケダうるせー黙れ、 え、てか七短? うわっ、青短と赤短と 草かよ、いつのまに!」 教卓を占領してワイワイ 盛り上がる男子たち。 女子の中にはあまりの 煩さに冷ややかな目で 見てる人もいるけど、 男子は一切そんなの 気にせず。 特にわたしの隣でパンを 食べてた環奈は冷たーい 目を向けてるよ。 「男子ってほんと子ども。 ていうか花札とか 誰が持ってきたわけ?」 環奈は口の端に ついたパンくずを指で 取りながらため息。 わたしがチューーッと 野菜ジュースを飲みながら、 「暁くん。」と答えると、 環奈はがっくりと肩を 落とした。 「早川かよ、 よく家に花札あったね、 普通なくない?」 「さー、 よくわかんないっ。」 よくわかんないけど、 うちの家にはないなぁ。 そうしてるうちに 勝負が終わったみたいで、 暁くんがこっちに やってきた。 そして、机の間の道を 塞いで椅子に座ってる 環奈を見下ろす。 「環奈サン、どいて、 むしろ俺の机から うちわ取って。」 「はぁ?自分でとれば。 ていうか環奈って 勝手に呼ばないで。」 環奈はどうも暁くんを 目の敵にしてるみたいで、 言うことがいつもトゲトゲ してるの。 暁くんはキョトンとすると、 フッと鼻で笑った。 「松原サン怖。 よっ。」 「ちょっと!!!!」  暁くん、なんと 環奈の背中に手をついて、 うちわを手に取った。 環奈、イライラ MAXです!! 「ちょっと重いってば!!」 「松原が退かないのが 悪いんだろ。」 「今退こうとしてたの! 変態っ!!!」 「ごめんって。 ほら、飴あげる。」 暁くんは環奈にポイッと 飴を投げると、男子が 集まってるところに 戻っていった。
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