荒川くんの方程式

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会って、 何がしたいんだろう。 バスに揺られながら 俺は考える。 最後の教育実習の日、 日渡先生には彼氏がいた。 だから、 色々我慢して、 かっこつけてサヨナラした。 フラれたら拾ってやるとか、 よく言ったよ俺。 どんだけ強がりなんだ。 もし、 日渡先生が彼氏と 別れていたら。 ・・・・・何を 期待してんだろうな、 俺は。 ただ、 このままモヤッと したものを残すのも ダルいから、 そうだよ、 ただ、自分の気持ちを ちゃんとスッキリさせに いくだけ。 じゃないと、 また彼女できても 適当に振って修羅場に なるって。それは勘弁。 だから、 会いにいくだけだ。 文句あっか、バーロー。 *********** 「入りづれぇ・・・」 さて、いざ高校の門の ところに来たはいいが、 糞入りづらい。 ここの高校、ブレザー なのに、俺は学ランで 普通に浮いてるし、 部外者入れませんよ オーラやばい。 つーか校舎はどれだ?? 門からなんか色々 建物見えてどれが何やら わかんねー。 私立って金持ってんな。 俺が突っ立ってると、 女の子が声をかけてきた。 「あの、 どうされましたか?」    あ、ラッキー。 この子に案内してもらお。 「や、ちょっと 会いたい先生が いるんだけど、 職員室まで 案内してくれない?」 「え、あ、 はい・・・・・」 何で先生に用?? 女の子はこう思ってるのか ちょっとキョトンとして 俺を案内してくれた。     「ここが職員室です。」 案内されたのは、 綺麗な建物。 いや、全部建物 綺麗なんだけど。 俺は女の子にさらに 声をかけた。 「あのさ、 ついでに悪いんだけど、 日渡先生、呼んで もらえないかな?」 「日渡先生??」 その言い方は、 「誰ですか、それ」 って思ってるのが ありありと伝ってきて。 や、 逆に聞きたいんだけど、 え、知らないの?? 「日渡先生って いない?? 若い女の先生。」 俺がもう一度言うと、 その子は首を傾げた。   いやいや、こっちが 首を傾げたいよ、 どゆこと?(笑)
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