男に夢見てんじゃねーよ

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「ひゃあっ!?!?」 驚いて飛び退くと、 大魔人はフンと鼻を 鳴らして、ソファから 立ちあがった。 そして、腕を組んで クスクス。 「おはよ、雅。 目ぇ覚めた?」 「見ての通りっ!!! もーーーーっ、 何でいつも襲うとか 変なこと言うのっ、 暁くんのアホ!」 今、目の前にいるのが、 何を隠そう“アイツ”こと、 早川 暁くん!! (はやかわ さとる) 何度言っても彼は まともな起こし方が 出来ません!! そんな暁くん、 ドサッとわたしの隣に 座るとニッッコリ笑った。 「そりゃー雅チャン、 無防備にスヤスヤ 寝てらっしゃるから。 寝てる間にイタズラ しても全然起きねーし。」 「いっ、イタズラ!?」 「ウソウソ。 ほら飯が出来ましたよ、 おじょーさま。」 暁くんはフッと笑うと リビングを出ていった。 もーーーーっ、 暁くんはいっっつも あんな調子なの! 飄々としてて、 変なことばっかり 言うの!! そのくせ顔はすっごく 整ってて、むかつく むかつくむかつく むかつく、禿げてしまえ あたしはムーーッと 顔を膨らませたまま、 暁くんの後をついていった。 ************ 暁くんのご両親も 夜遅くまで共働きで、 あたしと暁くんは、 両親が夜遅くまで いない者同士として、 小さいときから ずーーっと一緒だった。 家はすぐ隣だし、 保育園は同じだったし、 小学生の間は二人で 児童クラブに入ってたし、 中学に上がってからは 二人で協力して家で 留守番するようになった。 協力っていうか、まあ ただ晩ごはんを作って 食べるってだけだけどね? それが高校にあがった 今でも続いてるの。 「お邪魔しまーす。」 わたしの家を出て 10秒で到着する暁くんの 家に上がると、ふわりと 香ばしい香りがした。 「いいにおーいっ! 暁くん、今日のごはん なーにー??」 「餡掛けチャーハンと 冷蔵庫の余りもん ぶちこんだ中華スープ。」 暁くん、変なことしか 言わないけど、 お料理は上手ですっ! 「やったー!中華だー!」 ちなみにわたしは 料理ほぼ出来ないので いつもお皿洗い係です、 ふふふ。 わたしがテーブルに ついてると、暁くんは 呆れたようにこっちを 見てきた。 「つーか雅、 お前ちゃんと料理の 練習してんの? いっつも俺が 作ってますケド。」 「んー、ときどき?」 「してねーな、これ。」   暁くん、ため息。 だって暁くんが 作った方が美味しいもん。 あたしはテーブルに つくと、元気よく いただきますっ!と 挨拶をしてごはんを モリモリ食べ始めた。 モリモリ食べてるうちに 今日の放課後の恋ばなを 思い出した。 「おいこら、暁くん。」 「何、雅チャン、 お代わりなら自分で 注いできて、 でもそれ以上食べたら 太ると思うよ、」 「お代わりじゃないっ!!」 太るってなんてこと 言うんだ!! わたしはキッと 暁くんをひと睨み。 暁くんは涼しい顔して お茶を啜ってますっ。
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