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それからというもの、週に何度かハルと遊ぶようになった。
俺がハルの家に行くと、ハルはいつも喜んでくれ、直ぐに俺の手を引き、自分の部屋へと案内する。ハルの行動すべてが可愛くて仕方がなかった。
「あ、あのね、今日は、るいくんに見てもらいたいものがあってね」
ハルは、そう言い、恥ずかしそうにもじもじしながら、クローゼットの中から花柄のスカートを出してきた。
「これ、妹のハルちゃんのなんだけど、ぼくにも似合うかな?」
「うん! ハルならなんでも似合うと思うよ!」
「本当?!」
「うん!」
俺の言葉に、ハルは嬉しそうに笑う。
「俺、ハルがそれを着たのみたいな」
「えっ!」
ハルは驚いた表情を見せた後、「じゃあ、るいくんだけは特別だから」と言って、布団の中に隠れ、何やらもぞもぞとし出した。
るいくんだけが特別。
その言葉が、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
布団から出てきたハルは、先程のスカートをはいていた。裾を両手で握りながら、「へんじゃない?」と聞いてきた。
「全然! すっごく似合ってるよ!」
普段のハルは、短パンでいる事が多く、スカート姿は初めて見る。
ただでさえ可愛い姿が、スカートをはくだけで、女の子さが増し、更に可愛く見えた。
「ハルは、何を着ても似合うけど、スカートはもっと可愛いね」
「本当?」
「うん! ハルより可愛い子は、俺、見たことないよ」
本当の事だった。
もう、これは認めるしかない。
俺は、ハルが大好きだということを。
「るいくんは、やさしいね」
「なんで?」
「だって、僕なんかがこんな可愛いのを着たら、みんなおかしいっていうから」
「おかしくないよ。こんなに似合ってるのにおかしいわけないじゃん。ハルが着たいなら、着ればいい。周りの言葉なんて関係ない。ハルが好きなものを好きな様に着れば良いと思う」
「るいくん……、るいくんと妹だけだよ。そういう優しい言葉を言ってくれるの。僕、本当にうれしい」
ハルが、今にも泣き出しそうな悲しい笑顔を見せるもんだから、俺は胸の奥がきゅうっと苦しくなった。
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