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ありがとうの連鎖
いつもニコニコしている人を見ると、知らない人でも何だかほっこりする。
反対に、顰めっ面で口調も乱暴な人を見ると、無関係でも心がモヤっとしたりする。
人の気持ちや雰囲気は、何となく伝わって連鎖する。
優しい気持ちを向けられると、私も幸せで優しい気持ちになって、自然と「ありがとうございます」って言いたくなる。
「ありがとう」って、良い言葉だ。
言われて嫌な気持ちになる人は珍しいだろうし、知ってる人にも知らない人にも言いやすい。
レジで対応してくれた店員さん。
病院の受付のお姉さん。
診察してくれた先生。
駐輪場で「お先にどうぞ」と譲ってくれた女性。
「ありがとうございます」って笑顔で言うと、大抵笑顔が返ってくる。
だから私は毎日色んな場面で、「ありがとう」を言うようにしている。
けれど、最も身近な夫には、全然素直に「ありがとう」が言えない。
よく、「ありがとう!」って大袈裟なくらい感謝を伝えることで、旦那さんを上手に転がしましょう!、みたいな言葉も聞くけれど、ゴミを一袋出しただけでドヤ顔されたりすると、「はぁーん!?」と言いたくなってしまう。
夫だって、ご飯を用意しても「ありがとう」なんて今やすっかり言わなくなったし!、とプンスコする。
でもよくよく考えると、そうやってイライラしていると、いつまで経っても優しい気持ちのやり取りが出来ない。
だから「ありがとう」の言葉も出てこないという、正に負のループ。
今日、夫と割と派手に喧嘩をしたのだけれど、その後しばらくしてから、「頭が痛いから寝る」と言ってきた。
滅多に体調を崩さない人なので、頭痛を訴えるのも物凄く珍しい。
私は家族の不調にはやや過敏なところがあるので、喧嘩も忘れて、
「熱測って! 頭痛薬飲める? 水持ってくるから!」
と子どもの看病みたいにドタバタしていた。
そしたら夫が一言、「ありがとう」と言ってくれた。
今日一番嬉しい「ありがとう」だった。
「しっかり布団きて寝てや」と、私も今日は珍しく優しい気持ちを夫に返せたのだった。
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