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花は咲く
今日は、母と二人で近所の公園へ散歩に出掛けた。
公園の隣には、大きな池がある。
私が小学生の頃からあった池。
十年ほど前に大きく整備され、池の周りには遊歩道が出来た。
ベンチも置かれ、池を泳ぐ錦鯉や、日向ぼっこするアヒルや、亀たちを眺めることが出来る。
母の住む実家は、私の家から歩いて5分ほどのところにある。
以前はしょっちゅう立ち寄っていたけれど、90代の祖母が居るため、このコロナ禍では気軽に訪ねることも難しくなった。
近くに住んでいても、こんなに距離を感じる日が来るなんて。
そんなわけで、母と会うのも久しぶり。
屋内ではなかなか会えないので、公園散歩にしようとなった。
ベンチに座って、池を見ながら話すのは、お互いの夫の愚痴である(笑)
昔から、料理上手で、掃除好きで、夫を立てる母は、娘の私から見ても最強のスーパー母ちゃんだった。
今でも母には敵わないところがたくさんある。
それでも、私に父の愚痴を零してくれるようになったのは、何だかちょっとだけ、近づけた気がして嬉しくなる。
父や夫には申し訳ないけれど…(笑)
我々の話す内容はさておき、その公園では素敵な光景があった。
私たち以外にも、散歩にやって来る人が何人も居たのだけれど、
お互い知らない者同士なのに、皆必ず「こんにちは」と挨拶をしてくれるのだ。
犬を連れた人、にこやかな老夫婦、公園の前に住んでいるご婦人。
それぞれが、ベンチに座る私たちに「こんにちは」とマスク越しでもわかる笑顔を向けてくれて、私と母も「こんにちは」と返す。
まるで、登山中にすれ違う人たちの挨拶みたいだ。
なんて優しくてあったかい時間!
たった一言の挨拶だけれど、こんな時期だからこそ、とても幸せな気持ちになった。
私の住む大阪は、新型コロナウイルスの流行拡大が止まらず、大変なことになっている。
とある市長が、先日こんなメッセージを発信している。
「命を守る行動を」
次々に埋まる病床。受け入れ先の決まらない患者さん。
正に災害だ。
もう一年以上もの間、最前線で奮闘して下さっている医療従事者の方々、保健所職員の方々、救急隊の方々…他にもコロナ対応をされている方は大勢いらっしゃる。
我々は勿論、対応して下さる方々も皆人間。
機械ではないのだから、いつまでも無限に動き続けられるわけじゃない。
自分の命を守ることが、誰かの命も守ることに繋がる。
母と並んで歩く帰り道、藤棚の藤が、綺麗な紫色の花を咲かせていた。
薔薇の蕾も、今にも綻びそう。
花たちの力強さを、私も見習いたいと思った。
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