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突発性難聴になった話
「アレ?」と思ったのは、朝起きて、息子たちのお弁当を作っているときだった。
左耳に、何か違和感が。
トンネルに入ったときのような、あんな感じ。
日常生活でも、ちょっとした耳鳴りなんかは誰しも経験があるのではなかろうか。
私も疲れているときなんかによくあるので、まあ一時的なものだろうと思って、そのまま洗濯や掃除など、朝のルーチンワークをこなしていた。
二度目におかしいなと思ったのは、家事がひと段落して、ソファで愛猫と戯れていたとき。
「ザーッ」というような音が聞こえて、てっきり換気扇を止め忘れたのかと見に行ったけれど、回っていない。
それなのに、ソファに戻って座っても、やっぱり「ザーッ」という音は聞こえたまま。
しかも、左耳だけその音がする。
寝起きから感じていた、耳がつまっているような感覚も消えないし、謎の耳鳴りも一向に止む気配がない。
そこでふと、母が昔、突発性難聴になったときのことを思い出した。
私がまだ学生だったころ、母がある朝突然、「片耳が聞こえてないみたい!」と慌て出したことがあった。しかも「耳の奥で水が流れる音がする」とも言っていた。
その日耳鼻科へ直行した母は、突発性難聴と診断され、片耳の聴力がまったく無くなってしまっていた。
すぐに治療を受けたお陰で、今では母の耳はすっかり良くなっているけれど、放っておくと聴力が戻らなくなっていたと言われたらしく、親子でホッとしたのを覚えている。
一方私はというと、片方ずつ耳を塞いでみても、まったく聞こえないということは無かった。
違和感のある左耳も、音は聞き取れる。
ただ、音ゲー好きな私がいつもプレイしているゲームを起動してみると、そのBGMが、何故か不協和音に聞こえてひどく耳障りだった。
うちの近所には物凄く評判の悪い耳鼻科しかなく、私も子どもたちも、耳鼻科を受診するときはいつも一駅向こうの病院まで行くことにしている。
そこは先生の説明もわかりやすい上に、とってもテキパキしたベテラン看護師さんが沢山いて、患者さんたちを「はい、こちらどうぞ!」と迅速に捌いていくので、患者数の割に待ち時間も短いのだ。
最近はすっかり日も短くなってきて、日が沈むと肌寒いし、明日の朝に受診しようかとも思ったけれど、母の件を思い出し、結局夕方の診察時間に飛び込むことにした。
そして先生に症状を伝え、あの耳の中が吸い出されそうな(…)機械でまずは耳をお掃除してもらい、そこから聴力検査へ。
そこで自分でも驚いた。
左耳、全然聞こえねええええええ!!!!
いや、音は聞こえる。人の話す声や、物音なんかの生活音は、どれも聞こえる。
でも聴力検査くらいのあの微かな音が、ほとんど聞こえない。さすがにこれは、ちょっとショックだった。
結局、私の左耳の聴力は、右耳の半分くらいまで落ちていることがわかった。
検査結果や、症状が出たタイミング的にもこれは突発性難聴だろうと診断され、早速今日から毎日、ステロイド剤を点滴することになった。
飲み薬も出されるのだけれど、より完治に近づける為には、毎日ステロイド剤を点滴した方が良いらしい。
自転車で片道約20分。点滴も約20分。
これをしばらく毎日かあ…。
うへぇ……と内心思ってしまったけれど、ありがたいことに、そこは日曜日も診察してくれて、祝日以外の休診日がない耳鼻科なので(これって何気にすごい)、きっちり治療したいと思う。
ちなみに突発性難聴は、ストレスや疲労などが溜まっているところに、何らかのウイルスが入り込むことで、起こりやすくなると言われているそうな。
言われてみれば、昨夜は物凄く身体が疲れていたから、その所為…なのかも知れない。
いずれにせよ、突発性難聴は早期発見・早期治療がとても大事なので、皆さんも「あれ?」と思ったら、是非早めの受診を!
これは突発性難聴に限らず、メンタル疾患を含め、どんな不調に関しても同じ。
こんなご時世なので、疲れもストレスも何かと溜まりやすいけれど、やはり溜まったゴミは定期的に捨てなきゃいけないんだなあ…と、左耳の換気扇ノイズを聞きながら思ったのだった。
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