生まれたばかりの赤ちゃんが世界を滅ぼそうとしてるんだが?

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 始めまして、こんにちは。僕の名前はアルスラ・イグネティシア・スラーン・ディレクトリ・セブンです。種族は悪魔。  この度は名もなき世界の、地球という星の、日本という世界に転生させていただきました。    前世は生まれてから七年ほど魔王の息子をやってましたが、その魔王で強いはずの父親が勇者に聖剣でぶっすり殺されてしまったので、保険にかけていた転生の魔法を使って逃げてきたのです。  どこか暗い所を通ったら、知らない女の人の腕に抱かれていました。その事にはびっくりしませんでしたが、自分の体が赤ちゃんになったことにはびっくりしてしまいました。  体が思うように動かないし、すっごい魔法を使ったせいで魔力枯渇の副作用、激痛に襲われてしまいました。その時に、まるで赤ちゃんの様にすっごく泣いてしまって、子供心ながらこれはないな、と思いました。かっこ悪い。人様に見せられません。思いっきり間近で見られてたけど。  泣き止むと、近くに男の人がいつの間にか立っていました。不覚です。魔王の息子たるもの、敵の接近には敏感にあらなければならないというのに。教育係のデュフリードに叱られてしまいます。罰に地獄窯にポイの計にされてしまいます。その時は「父様が勇者なんかに後れをとって死んじゃうのが悪いんだ」と言い訳する事にします。ごめんなさい父様。弱いのが悪いのです。この世は弱肉強食。  なれなれしくその男は僕の手を触ってきたので「後悔するがいい」ふんすっ、と指を苦しめてやりました。体は赤ちゃんだけど、結構な力が出ました。ひょっとして、素質のある凄い体を手に入れてしまったかもしれません。男は僕の力に驚いていました。いい気味です。  まいったか、ふはははは。ここポイントです。  悪の魔王は恐ろしげで威厳のある笑い方をしなければならない、今は亡き父様の教えです。  勇者にやっつけられたのは、弱者だった父様が悪いですが。一応、生みの親なので敬います。  恐れるがいい弱者ども。ふはははは。 「ぼくありゅしゅぁ、せかいほろぼ……しゅ」訳(僕アルスラ、世界滅ぼす)
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