#30 酔った彼女の誘惑に勝てますか?

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「ほら、もっと寄りかかって」 肩の前に腕が回り、グッと後ろに倒れるように寄りかからせられる。 「わっ!」 背中に照谷さんの胸が密着し、お湯とは違う温かさと肌のぬくもりにきゅんとなる。 「ね、こっち向きもいいでしょ?」 「ん…」 私は力を抜き、照谷さんに身体を預ける。 肩を抱かれた腕がそのまま首の下にあるので、腕をそっと掴む。 体重を預けたまま、そっと後ろを振り向き、顔を見る。 「どうしたの?」 「あの、だめって言われるかもだけど、お願いしていいです?」 「うん、なぁに?」 「あの…、ちょっとだけでいいから、キス…したいな、と思って…」 だめです?と目で訴える。 さっき言われた、理性が揺らぐ行動にキスは入る気がする。 でも、したいなぁ。 だめかなぁ。 「いいよ。少しだけね」 「はい!」 嬉しくなり、元気に返事をしてニコニコと頷く。 そのまま、少し身体をひねる。 照谷さんの腕が肩から私の頬へそっと移動し、優しく包む。 背中を預けたまま、唇をそっと合わせる。 お互いの体温が高く、触れ合うとキスの熱でさらに体温が上がった気がする、 ゆっくりと、ちゅっ、ちゃぷっ、と唇を食むように、じっくりと。 お互いの唇の感触を全て確かめるように、舌は絡めずじっくりと何度も繰り返す。 キスが止み、そっと目を開けてる。 気持ち良さに、ほぅっとため息が漏れてしまう。 「はい、おしまい」 頬を包んでいた手を離され、頭をぽんぽんっと撫でられる。
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