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#30 酔った彼女の誘惑に勝てますか?
「先入ってて。準備したらすぐ行く」
「はい」
私は着替えを受け取り、先に脱衣所へ。
ゆっくりと服を脱ぐが、下のスカートやショーツを脱ぐ際、やはり少しふらつく。
裸になり、下ろしていた髪を、持っていたシュシュで高めの位置にポニーテールにする。
毛先がぷらぷらするので、クルッと軽くお団子にまとめた。
先に浴室に入り、身体を洗い始める。
カタンと音がして、照谷さんが脱衣所に入ってきたのがわかった。
シャワーで身体についた泡を洗い流す。
コンコンと浴室のドアをノックされる。
「彩、入って大丈夫?」
「はい。今シャワーで泡、流してます」
シャワーを止め、浴槽のお湯に浸かると、音で分かったのか照谷さんが浴室に入る。
「先、身体洗ったの?」
「はい」
「そっか」
濡れていない髪を見て言われる。
照谷さんもボディソープを泡立て、身体を洗い始める。
浴室のややオレンジがかった照明の中、湯気に紛れて照谷さんの身体がみえる。
徐々に泡に包まれていくが、白く滑らかな肌の質感が見て取れる。
私は浴槽から両手を出し縁におき、その上に頭をこてんと乗せて、照谷さんが身体を洗う様子をジッと見る。
「…………ね、見過ぎだから」
「気づいてたの?」
「………この距離で気づかないほうが無理だよ笑」
「ゆぅきさん、きれいだなぁと思って見てたの」
見惚れてしまい、ついうっとりとした声が出てしまう。
「……………」
照谷さんは難しい顔をして無言のままシャワーで泡を洗い流し、立ち上がり浴槽に入ってくる。
スペースを空けるため端に寄る。
私の背中側にスッと入り込んできた。
容積が増え、浴槽のお湯がザーッ溢れる。
「え、後ろだと顔が見えない。やだ」
「え?」
「前がいい」
そう言い、私がクルリと向きを変えて浴槽の中で向かい合うようになる。
向かい合い顔が見えるようになり、嬉しくてご機嫌だ。
一人暮らし用のアパート、浴槽はそれほど広くなく膝を抱えないといけないくらいで、2人で入るとかなり近い。
膝を抱えていた片手をそっと伸ばし、照谷さんの頬を撫でる。
頬がやや赤く火照っている。
きれい…。
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