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「前向き…、恥ずかしくないの?」
照谷さんはやや、視線をキョロキョロと泳がせた後、私の顔をチラッと見る。
「お湯の中だし、大丈夫」
「この後髪洗うのはどうする?お湯から出ちゃうよ」
「ん〜。少し恥ずかしいけど、ゆぅきさんだから、大丈夫」
私はニコリと笑いかける。
「…………俺、先に髪洗っていい?」
目をそらし、もう逆上せそう、と呟き、バシャっと水音をたてて立ち上がる。
シャワーを頭からざーっと被り、ガシガシとシャンプーで洗い始める。
目をつむり、洗う姿に胸がキュンとなる。
「…………ね、ゆぅきさん」
「ん?なぁに?」
目を軽く開け、髪を洗う手を止めて聞いてくる。
「私が洗いたいな、髪。だめ?」
「え?だめじゃないけど…」
「やった。洗いたい」
嬉しくなり、バシャっと立ち上がり、照谷さんの背中側に立つ。
浴室には椅子は1つ。
今その椅子は照谷さんが座っている。
立ったままだと、少し洗いづらいな…と思い、膝立ちになり照谷さんの髪に手を伸ばし洗い始める。
泡の中で手が触れ合うと、照谷さんは手を下ろし、洗うのを任せてくれる。
柔らかく、癖のないストレートな髪。
お湯とシャンプーでさらに柔らかな手触りで心地よく気持ち良い。
優しく、痛くないように洗う。
「ゆぅきさん、きもちいい?」
「うん、気持ちいいよ。ありがとう」
シャワーのお湯を出してもらい、シャンプーを流すのは照谷さんにしてもらう。
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