#30 酔った彼女の誘惑に勝てますか?

2/11
前へ
/380ページ
次へ
「前向き…、恥ずかしくないの?」 照谷さんはやや、視線をキョロキョロと泳がせた後、私の顔をチラッと見る。 「お湯の中だし、大丈夫」 「この後髪洗うのはどうする?お湯から出ちゃうよ」 「ん〜。少し恥ずかしいけど、ゆぅきさんだから、大丈夫」 私はニコリと笑いかける。 「…………俺、先に髪洗っていい?」 目をそらし、もう逆上せそう、と呟き、バシャっと水音をたてて立ち上がる。 シャワーを頭からざーっと被り、ガシガシとシャンプーで洗い始める。 目をつむり、洗う姿に胸がキュンとなる。 「…………ね、ゆぅきさん」 「ん?なぁに?」 目を軽く開け、髪を洗う手を止めて聞いてくる。 「私が洗いたいな、髪。だめ?」 「え?だめじゃないけど…」 「やった。洗いたい」 嬉しくなり、バシャっと立ち上がり、照谷さんの背中側に立つ。 浴室には椅子は1つ。 今その椅子は照谷さんが座っている。 立ったままだと、少し洗いづらいな…と思い、膝立ちになり照谷さんの髪に手を伸ばし洗い始める。 泡の中で手が触れ合うと、照谷さんは手を下ろし、洗うのを任せてくれる。 柔らかく、癖のないストレートな髪。 お湯とシャンプーでさらに柔らかな手触りで心地よく気持ち良い。 優しく、痛くないように洗う。 「ゆぅきさん、きもちいい?」 「うん、気持ちいいよ。ありがとう」 シャワーのお湯を出してもらい、シャンプーを流すのは照谷さんにしてもらう。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

771人が本棚に入れています
本棚に追加