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私の産まれた意味
私は17年間王子の良き友人になれたと思う。
私は数多くいる民衆の中から神託によって
王子のスペア《友人》となった。
まだ産まれたばかりの時に
お互いの皮膚の1部を取り替え、免疫を作らせた。
そうすることで、もし、王子になにかあった時、
臓器移植をしても拒絶反応を起こさずに、
そのまま王子の体の1部となる。
そうすれば、王子は死ぬことなく、
王として、この国に君臨できる。
私
もちろん、スペアは死ぬが。
それでも、私はいいと思っていた。
本当なら、
直接お目にかかることすらできない身分でも、
お目にかかるどころか隣を歩くことができた。
ただの貧しい農民だったのに
高い地位を与えられ、
貧窮した生活から逃れられた。
父と母に、豊かな生活をさせることができた。
王子と笑い合うことができた。
それだけで私は十分幸せだった。
そして、もっと長く王子の隣に居れると思っていた。
もっとたくさん学び、
もっとたくさん談笑し、
もっとたくさん王子の笑顔が見れる。
そう思っていた。
信じていた。
つい、3日前までは。
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