非日常の普通を

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物心ついたときから私は、 かなり常識から浮いていたらしい。 自覚は···  していた。 最初は小学三年生。 母から誕生日にもらった彫刻刀を片手に フラフラと公園へ。 特に何か考えているという訳じゃなかった。 ベンチに座って、足をブラブラ。 そしたらそこに猫が寄ってきた。 私の足に顔をスリスリ。 あぁ、可愛いなぁ。可愛いなぁ。 殺したいくらい、可愛いなぁ。 気が付いたらメッタ刺し。 不思議と気持ちが高揚して、今まで一番楽しかった、という思い出がある。 結局警察が止めるまで数十回刺しまくった。 それからは、人から隠れるということを学んだ。巧く、巧く()った。 中学校に上がると、より一層殺したい衝動に駆られた。嫌なヤツにはもちろん、すごく幸せそうなヤツも。 ところで、中学生は敏感だ。 私の些細な仕草に反応したらしい。 「もっと普通に出来ないの?」 「ちゃんと普通に喋ってよ!!」 「○○さん、もう少し普通に考えてみて下さい。先生困っちゃいますよ?」 普通に、普通に、普通に。 私は押し潰されそうだった。 否、押し潰されつついた。
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