祈り合う二人

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難病を患ってしまったらしい。突然の宣告に、頭が追いつかないまま、病院の外に出られない生活を送ることになった。 このまま緩やかに身体中が病に侵され、死を迎えるだけだと考えると、とても正常な神経ではいられない。いっそ、ひと思いに命を絶とうと考えることもあった。 でも、あの人が病院にいてくれて、気持ちは少しずつ変わっていった。 同じように、治る確率は著しく低い難病を患いながら、あの人は、気持ちが整理できていない自分のことを気遣ってくれた。自分自身のことよりも、心配してくれていた。苦しい現実を和らげ、暗い未来を忘れさせてくれた。 そのことを感謝したとき、あの人は微笑みながら、こう言ってくれた。 「あなたのような素敵なかたが、自分がそうだったように、絶望に身を沈めてほしくないから、そうしているんですよ。・・・あなただからなんです」 神様、お願いします。 どうか、あの人の病気を、治してください。 あの人は、こんな病気なんかで死んでしまっていい人ではありません。自分はもう、覚悟はできている。このまま、ずっと治らなくて構いません。その代わり、あの人は、あの人だけは、元気に生きていってほしいんです。 どうか、お願いします。
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