呪いの本

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奴の寝室は女とアレするためだけに存在するようなでかい寝台と、その脇の小棚しか置かれていない。 何ともシンプルな部屋だ。 その寝台の上で、何と奴は震えていた。 振っていた、ではなく、震えていた。 女はいない……。 ……ちっ。 しかし、奴が震えるなんてありえない話だ。 腰を振っているのは何度も目にしたが、怖いもの知らずの奴がまるで何かに怯えているような震え方をしている。 しかも、震える声で。 『コワいニャ……コワいニャ……』 怖がっている。 何がそんなに怖いのか、特に興味も湧かないが魂の書類について聞かなくてはならないので俺は奴のもとへと向かった。
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