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ミントは自分のポケットからハンカチを取り出すと、何気なくシオンの頬にあてる。
びくっと後ろに倒れそうになったシオンは、どうにか踏み留まり、驚いたようにミントを見る。
「あ、ごめんなさい……」
「いや……」
低い声で返したシオンは、顔を背けると軽く咳ばらいする。
それはミントの行為を遠回りに拒絶している合図と思ったので、急いで手を引っ込めた。
「い、行きましょうか!」
気まずい雰囲気になりそうだったから、できるだけ明るく言って歩き出そうとする。
だけどシオンは。
「え?」
と、急いで中断したミントが信じられないように声を上げた。
「の、喉が渇いたわね。お腹も空いたし」
益々気まずい雰囲気になりそうで、そう言って誤魔化すと。
「せっかく」
シオンが何か言った。
立ち止まって振り向く。
シオンはポケットに手を突っ込み横を向いていた。
何なんだろうと思いながら、行きましょ、と声を掛け、また歩き始めると。
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