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「せ、せっかく、二人っきりなんだから……」
後ろから声を張り上げ、そこで迷うように止まる。
腕を伸ばすと、こっちに来いというように誘われ。
ミントは首を傾げながら仕方なく歩み寄る。
シオンの前まで来ると、何? と聞き返す前に、抱きしめられた。
ひゃっと声を上げ、そんなミントにも構わず。
「二人きりなんだし、もう少し、一緒にいないか?」
ぎゅうと痛いくらい抱きしめられ、心臓がおかしくなりそうで、でも戸惑う。
「は、早く、アザミに話さなきゃいけない事が……」
「少しだけでいい。もう少し、二人きりで」
ずっとそれを、望んでいたように言われれば。
でも今は、アザミに会わなければいけない気持ちが強くて。
「二人きりなら、後でもなれるじゃない。私のとこ、通い詰めてくるんでしょ? 私は、いつでも暇だし……」
シオンが腕を緩める。
手を伸ばすと、ミントの頬に触れる。冷たい頬にシオンの手は、温かい。
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