冷闇ノ貴族番外編

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「ミント……」  そんな風に呼ばれれば。 「いいだろ……?」  それは今の気持ちを抑えられない、という遠回しな言い方。  手の平に掬った髪に軽くキスされ。それから額、頬に、柔らかい唇が触れる。 「キス、したい」  金色の瞳が見つめる。  思い詰めたような顔が近づいてきて。だけどミントは顔を俯かせて。 「こんな事、してる場合じゃ……」  ツバキやヴィオンはまだ行方が解らないのだから。  シオンは動きを止めた。 「解ってる……でも……」  続けたい、というように髪を撫で付け、何度も頬にキスする。  柔らかい唇に触れられ、火柱が立つように熱い。  首筋に唇を這わせれば小さく喘いでしまい。  聞き取ったシオンはその気にさせようと、攻める。 「ここ、弱いんだな」  嬉しそうなシオンの顔。  何度も弱い首筋を攻められ、息が上がる。  自分の呼吸の他に、別の乱れた呼吸を聞き取り、それがシオンのものと解ると。  極限まで追い詰められている。それが気持ちを惑わして。  自分を欲している。そう思うと、身体が熱くなって。 「……ん」  シオンから借りた上着の中に、何かが入ってくる。  もぞもぞと動き、胸より下で止まる。  迷っているのか、焦らしているのか。
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