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「お邪魔しましたぁ」
丸椅子から立ち上がって私はそう言うと扉に向かう。
シオンは面倒くさそうに頭を掻いている。
ふん。面倒くさい事になりそうだから帰るのよ。
「待ってよ。少し話そうよ」
アレンが肩に手を置いて引き留めた。
魔女って知っててそんな事を言うんだから、私は言葉を返せなかった。
「よせ、アレン。関わらない方がいい」
と、シオン。
何よ。お荷物みたいに。
あ。もしかして困ってるのかな。
うふと笑いが零れた。
「何で? こんな可愛い子と一緒にいられるなんて羨ましいぞ。この。シオンのくせに」
とか言ってアレンはシオンの肩に腕を回して首を絞めた。
仲がいいみたいだ。
羨ましいのはこちらだ。
「あ、俺アレンな。アレン・サントライユ」
「ふーん。兄弟?」
「うん、まあ兄弟みたいなもん」
「ふーん……」
アレンの方が年上っぽい。
背も高いし。
シオンより五センチくらい高いんじゃないかな。
着てるものも貴族っぽい服装だし。
長い前髪を真ん中で分けて、後ろは一つに纏めてる。
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