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「ううー、一応俺も高潔なのにー」
惜しいとでもいうような感じだ。
「でも婚約者がいると面倒くさい事になるじゃない?」
三角関係なんて嫌だ。
「まあ、そうだけど。そこは魔女だから何とかしてさ」
「何言ってるのよ。魔女だからって何でもできるわけじゃないのよ。
大体、面倒くさい事になるって解ってるのにわざわざ婚約してる人を選ぶなんてバカじゃない。
そこまで私はバカじゃありません」
べ、と舌を出す。
アレンは苦笑いしながら、それもそうだな、と言った。
でも、何かを思い出したように、あれ、と言って首を傾げた。
「シオンだって、婚約してるだろ?」
アレンはシオンを見て、私を見た。
私は、固まった。
「あれぇ? もしかして、知らなかったり?」
アレンは意地悪そうにくすと笑う。
私は何も答えられなかった。
というか、嵌められた。
「シオンだって婚約してるよ。じゃあ、もう対象外だね」
アレンは私の前に立つと、頭をぽんぽんと叩いた。
私は俯く。
墓穴を掘ってしまった。
アレンは私に「婚約してる人は対象外」と言わせておいて、シオンが婚約してる事を教える事でシオンから離すつもりなんだ。
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