恋闇ノ魔女番外編

6/8

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
 誤魔化すように笑う。 「そうなんだ……。じゃあ仕方ない、ね……」  アレンの顔を見れば、憎たらしいほどの笑顔を見せている。  頭いいな、この人。  さすがシオンの兄弟だ。  シオンが頭いいかは知らないけど。 「でも、本当に婚約してるの?」 「本当だよ。ここのお嬢様とね。だからここにいるんじゃないか」 「……そっか。そうだよね」  言葉ではそう言ったけど、私は信じてない。  もし本当に婚約してるなら、今こうしてシオンが黙ってるはずないもの。  婚約は本当だ、対象外ならもう来るな、って言えば私を追い払う事ができる。  なのにシオンは、背中を向けたままじっとしている。  でも本当じゃなくても、婚約してるって言えば、少しは効果があるのに何も言わないって事は、もしかして……。  なんて、甘い夢を見たり。 「まあ、それよりもさ。早くお茶行こうよ。君を誘いたくてここに来たんだから」 「え? そうなの?」  アレンは照れ臭そうに笑う。  よく、解らない人だ。 「それにさ。さっきも言ったけど、君がサントライユまで来たら、俺は婚約破棄してもいいよ」 「……ううん」  でもアレンは全然好みじゃない。そもそも私は魔女じゃないし。私が興味あるのはシオンだけ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加