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side B
後輩の佐久間さんは
どうやら俺が苦手らしい。
食べたいのある?と聞くと、
何でもいいです、
どう、仕事?と聞くと、
まあまあです、
そしてさっきから話しかけても
ずっと目を合わさない。
同期の近藤と相原と飲み屋を探しながら会社の近くを歩いている今。俺に話しかけられて無関心な女は今のところ、俺の前を歩いている同期、相原希だけだと思ってた。
相原が俺に無関心な理由は彼女の隣をのんきに鼻歌を唄いながら歩いている近藤康太に好意を寄せているからだと知ったのはけっこう前の事だ。その当時の近藤には付き合っていた彼女がいたけれど、最近、彼女の浮気が本気になってしまったらしくフラれたと聞いてる。
相原、チャンスだ。
いい加減、俺をだしに使うのは止めにして、
毎月給料入ったら飲み行こうぜ会を、
お前らのデートとやらにしてくれ。
俺は、早く帰って、とりあえず、寝たい。
連日の残業続きで腕が上がらん。
……なんてことをさっきから彼女に何度か目配せしてるんだけど、わかってるって、と目で返されるばかりだ。彼女は見た目の派手さとは真反対でどうやら心はけっこうデリケートらしい。
そういう訳で俺は今月も相原の為に人肌脱いで
しっかり出しに使われる予定でいたのだが、
今日はもう一人、突然、相原が誘った
飛び入りさんがいるわけで…
それが俺の隣を無言で歩く、
今年の春に入社した第二営業部の女の子、
佐久間さんだった。
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