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暗闇の中の一点の光。
深い井戸の底から見上げた針の穴位の光でも、私にとっては希望。
その望みの為に、私は此処にいる。
祭服に身を包んだ、冷たい顔をした美しい男に監視されながら。
私は毎度のように跪き、目の前の老人のペニスをしゃぶっている。
若い男のソレではないから、立ちが悪く柔らかいままだ。
時折、車椅子の肘置きを掴む手がピクリと動く。
屋外で楽しそうにはしゃぐ子ども達の声が聞こえる。
屋内で集いの後片付けをしている大人もいる。
私と彼等を隔てるのは、暗幕一枚。
私が中で何をさせられてるか誰も知らない。
最後まで声を立てない老人。
痴呆が入り今は車椅子で呼吸をするだけ、瞼も重い。
そんな彼の、以前は男の象徴だったものを私は丹念に舐める。全ては妹弟達の為…
この老人が会に寄付するお金で、真新しいランドセルが貰える子がいる。
ちびた鉛筆を繋ぎ合わせて使ってる弟に、新品を。
オンライン授業の為に安定した通信環境が必要な妹に、その通信費を。
冷ややかに私を見おろしてる悪魔の、色素の薄い肌と濃い色をした祭服の対比が目に入る。悪魔が聖者のふりをしている。
白髪だが年齢不詳、私が会に足を運び始めた頃には着任していた。
その頃の私は無邪気に会が施す贈り物を、有り難く頂戴していた。
以前集いが散会した後、必ずカーテンの奥へ消えてく少年がいた。
天使の笑みを浮かべた悪魔は、資産家の老婆の手を取りその後を追った。
それは少年が変声期を迎えるまで続いた。
少年は美しい声の持ち主で、彼が朗読すると皆心が洗われた。
老婆には亡くなった伴侶と別に、幼い頃将来を誓った相手がいたという。
悪魔はその時の年齢に近い少年に、愛を囁かさせたのだろうか…
中で何がなされていたのか分からない、ただ少年の家も困窮していたのは確かだ。
老人の萎えてたペニスが急に膨らみ、すえた匂いの精液を私の口に放出した。
急いで口を拭う…
その量や勃起時間はごく僅かだったが、屈辱と老人の生の老廃物が私に投棄されてるみたいで嫌悪感満載だ。
かの老婆も死臭がした。
今思い返すと、彼女は末期の病に冒されていた。
悪魔は死期が近い人間から財を巻き上げ、天使の顔で集う人間に施す。
今も何事もなかった様に世間話をしながら、老人の車椅子を押して暗幕から出ていく。
私がする事で助かってる人がいる…だから我慢できる。
多くの人に善意に映る行いをする人が、特定の人に悪意をふるう…そういった悪魔があなたの近くにもいるだろう。
彼等は必ずしも額面通りの顔をしてない。天使の笑顔を被って平然と悪意をふるう。
私の悪魔は笑顔で振り返り、暗幕を揺らした。
(完)
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