第四章 思惑を秘めた接近

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 「つわりがちょっとひどくなってね。  昨日からセンター休んでる。有休連続で取って、少しまとめて休むことになったんだ。  頑張れば大丈夫らしいんだけど、何かあったらって思うと、ちょっと……」  少し前に電話で話した時は、そこまで、つわりがひどいと感じなかったから、状況の変化に玲奈は驚いた。  「そんなに調子悪いんだ。  病院は?」  つわりに()く薬があるかは分からないけど、なんとかならないかと思ってしまう。  「行ってる。これ以上悪くなったら、何日か通院かもしれないって。そこまで悪くないから、とりあえず安静にしてほしいって言われたよ。  ネットで調べて食べれる物、買ってきてるし、俺も土日は家にずっといるから、何かあっても大丈夫とは思うんだ」  愛香に羨望(せんぼう)を覚えたけど、妊娠は想像よりも大変だということを、玲奈は改めて感じていた。  「そっか……早く落ちつくといいね。  あ、これ、お祝い。花なら大丈夫そうだから良かった。食べるものだったら気まずかったね」
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