第一章 離婚協議

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 ***  愛香たちに会った後、自宅に戻ると、倫世が部屋から出てきて面倒そうな表情を向けてきた。  「あたし、パパたちのところに行くわ。もう少ししたら向かうから。  キャリーに入らない荷物残していくけど、勝手に処分しないでね」  呆れた言い分に、直樹は軽蔑の表情を浮かべて返した。  「出ていくのは勝手だ。でも、昼間、一人にできないのは分かってるんだろうな」  駆け引きだった。もう、この家にいるのも嫌な倫世がどう出るか、直樹は(うかが)っていた。  「貴方がしたらいいでしょ。それに、どうせ、保育園に入れるつもりだったんだから、少し早くなる程度じゃない。さっさと入れたら?」  今年、薫は四歳になる。倫世の育児に不安しかない直樹は、早くどこかの保育園に入れたいと、あちこちに申し込んでいる。  数か所からいい返事をもらっていて、離婚の申し出と同時に入園させようと思っていたから、確かに少し早くなる程度だ。  でも、その考えを倫世は知らない。だから、年齢で入る程度と思っているはずだが、言われると不穏当な気分になる。
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