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電話を終わらせると玲奈は冷蔵庫から缶チューハイを出して、一気に半分くらい飲んだ。
友人の妊娠は心から祝福している。でも、玲奈の瞳からは涙が零れていた。
羨ましくてどうしようもなかった。
空腹にアルコールを入れたから胃が焼けるようだけど、身体の痛みがあれば、心の辛さは少し紛れる。
「いいな……」
誰もいない部屋に、玲奈の声が羨望の響きを持って流れた。
その夜、玲奈は缶チューハイを飲んだ後、何も食べないで眠りの国へと逃げた。
そうしないと、二度と傷つきたくないからと、封印した願いを抑えきれなくなってしまう。
明日になればきっと気持ちは落ちつく。そう思いながら玲奈はベッドの中で身体を丸めて、辛い過去から自分を守っていた。
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