きみと 逃避行

2/14
150人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
1年3か月付き合った彼氏と別れた。 まだ夏が始まったころだった。 二か月も経った。 でもまだ、二か月しか経っていない。 心が浮気した。 彼はひどい男じゃないから、ちゃんと私に自分の中に生まれた新しい恋心のことを打ち明けて、ちゃんと終わらせてくれた。 あんなにわたしのことを好きだと言って抱きしめてくれた彼にはもうどこにもいない。 そんな彼の横には、もうきっと新しい彼女が横にいるのだろう。 彼と歩いていたこの道は、ふたりだったら寂しくも怖くもなかったのにひとりであるけば世界がモノクロになったように色をなくしている。 やけに信号機ばかり決まって同じ色を照らしていて、それだけがわたしの拠り所だった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!