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きみと 逃避行
東京の夜は少し寂しい。
ビルから明かりは消えて、真っ暗な大通りでは信号が赤・黄・緑を順番に発している。
誰もいない歩道の横で、時折通る車のライトがやけにまぶしく感じて、そのたびにわたしのこころが照らされて空っぽになるような気がした。
午前1時を過ぎた。
夏の終わりを感じさせるすこし冷たい空気が心地よくて、その中に残る夏のぬくもりがなかなか消えようとしない。
相変わらず、ロック画面に通知はなかった。
何を期待しているのか、終わったことに続きを待っている自分がいて、それが嫌になる。
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