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第3話 浄化の力
その話はマグナの故郷である異世界の話だが。
今どきの男子学生には、手厚いサポートがついている。
ちょっとした生活のトラブルで飢えないように、学食のカロリーは学生一人一人の体調を考えて決められているし、校外学習で迷子になった時のために学校が支給している端末にはGPS機能やらナビ機能がついている。そして非常時には、自動的に持ち主のバイタルチェックを行い緊急通報までしてくれる。
浄化の力もその一つだ。
汚染環境の中移動しなければならなくなった時に備えて、端末の持ち主の周囲に結界を展開、汚染された物質は備え付けの浄化キットで洗浄できるようになっていた。
というわけで。
異世界に来て早々、汚染された土地を進みながら生存者を探していた一団を見つけたマグナは、人助けすることになった。
厳重な装備に身を包んだ一団は、崩れかけた高層ビルの合間を歩いていた。
しかし、彼等の装備は見る者が見れば旧式だと分かっただろう。
汚染された空気と浄化された空気の混じる、古びた酸素ポンプを作動させ、汚れで目の詰まったフィルターを稼働させながら、身一つで歩く一団。
彼らは、普通の少年が身一つで歩いている光景を見て、驚いた。
「あっ、あんたは一体何者なんだ?」
「この不思議な力、まさか神様か何かだってのか」
彼らは治るはずのない病を抱えた者や、生に執着しない者ばかりが集められた捨て身の一団。
途中で力尽きても支障のない者達ばかりだった。
そんな彼らは、途中で仲間を欠きながらも、懸命に生存者を探して、シェルターに連れ帰る探索者達だった。
マグナは、頬をかきながら、言葉を綴る。
「えっと、実はただの男子高校生なんです」
そして、異世界では、と付け加えながら詳しく説明。
当然マグナの言葉を信じてもらえるまで、割と時間がかかった。
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