第七章 不穏な連絡

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 怒った従姉(いとこ)に大翔は、お盆の時のことを教えたということで、さらに集まりの場は荒れたらしい。  自分の希望を(かな)えてくれない相手の失態を隠す人はいないだろう。従姉は勘のいい人で、お盆に何かあったと察していたらしい。  炎に燃料を投下した大翔は、新年早々に帰ったということで、その後のことは知らないと言っていたけど、穏やかに過ぎたとはとても思えない。  「そうだよね。少しは気持ち動いたのかな。  今も白井(しらい)副部長とすごく仲いいみたいだからね」  大翔は、同期会や五人の時、和香との交際のことを()けば話してくれる。いちゃいちゃという感じではないけど、相当仲はいいようだ。  付き合いは二年を過ぎているから、今でも交際始めのように仲がいいのはすごいと思う。  和香は意外にプライベートでは可愛いということだ。会社での姿からは想像できないけど、彼女はツンデレタイプなのだろう。  素直に甘える女性と同じで、男性が好むタイプでもある。大翔も同じようだ。  「ああ。さすがに部長もアラサーだからな。そろそろ本気で考えてるんじゃないか、結婚。俺たちだって、親に会うくらいだからさ」  交際が大翔たちよりも短い二人でも、将来を(おぼろ)に考える。恋人が三十歳を超えた大翔なら、もっと真剣に考えているだろうな、と思った。
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