第七章 不穏な連絡

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 ***  「はじめまして、高杉(たかすぎ)彰良といいます」  普段は明るくて遠慮の少ない彰良だけど、さすがに恋人の親と会うのは初めてだから緊張を隠せていない。  「高杉くん、はじめまして、由莉の父です。  由莉と同じ部署と聞いてるが、大学もそういう専攻だったのかな」  「そうですね。メディアコースで、地元にはなかったので……」  彰良の出身大学を聞いた両親が少し驚いている。由莉が卒業した大学よりもずっと有名でランクも高い。彼が東京の大学を望んだのが分かる。  「なるほど……それなら、これからも広報の仕事を?」  広報部は本社にしか存在しない。支社の広告に関しても本社で一括(いっかつ)管理だ。商社なので、支社すべてに広報部は必要ではない。他の商社でも同じようなものだろう。  「異動がなければ……実は、広報部の前は経理でしたので」  意外すぎる部署に父親が()き返した。  「経理?かなり違う部署の気がするけど」
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