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「僕がカマキリのオスなら繁殖なんてしなくてもあなたに食べられてあげますよ。あなたのためだけに僕はあなたに食べられます」
どこかでひばりが鳴いていた。
春を告げる愛らしい声で・・・。
誰からも愛される綺麗な声で・・・。
「クラウス・・・アンタさ・・・こんな三十路越えの女装したオッサンにそんなこと言って恥ずかしくないわけ?」
わたしは・・・俺はそう言って伸ばした髪の先を見て笑ってしまっていた。
髪を伸ばし、メイクをし、爪を手入れして女物の服に袖を通し、女よりも女らしく振る舞って女であろうとする・・・。
けれど、それはどうせ『女のふり』だ・・・。
俺はどう足掻いたって男で脂肪でできた柔らかな胸はないし、股の間には大砲がぶら下がっているし、気を抜けばすぐに野太い声が出る・・・。
おまけに歳も今年で31・・・。
あと何年、この姿のままで居られるのかもわからない。
いや、今でさえ不安だ・・・。
人の女に化けたバケモノの姿に見えちゃいないかと毎日、不安だ。
なのに・・・。
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