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「せいぜい、わたしに捨てられないように自分磨きをすることね。あと神様にでもお願いしときなさい? わたしに捨てられないようにって・・・」
私はそう言って腰掛けていたガーデンチェアから立ち上がり『お腹空いた』と呟いて、すかさず『何か召し上がられますか?』と訊ねてきたクラウスに『もつ煮』と答えてクラウスを困らせた。
なのにクラウスは微笑んで『ご用意致します』と言い、屋敷へと駆けて行った。
屋敷へと駆けて行くクラウスの背中はどんどんと小さくなった。
そんなクラウスから私は視線をそらし、先ほどまで腰掛けていたガーデンテーブルを振り返り、そこにいたひばりを見つめ見た。
「・・・美味しい?」
わたしがそう訊ねるとひばりは啄んでいたカマキリをゴクンと一口に飲み込み、春の淡い空へと舞い立った。
「願わくば・・・神様、お願い・・・」
わたしはそう言って春の淡い空に願い、馬鹿真面目で可愛い、わたしのひばりの元へと急いだ。
わたしはもつ煮が嫌いだ。
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