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──俺の村は北東の辺境にあって、とても小さい。
でも、過去に英雄が出たこともあって、王都から兵士が派遣されている。彼らは怖いモンスターから村を護ってくれる有り難い存在だ。
なかには、村の人と結婚して定住する兵士もいる。そのせいなのか、村から強い戦士や魔法使いが出たりしていた。
たぶん、そういう事も見越して兵士も来ているんだと思う。
大成しなかった自分の代わり──なんて言えば酷く感じるが、出来れば夢は大きくと考えてしまうんだろう。
かあさんから、祖母は王都から派遣された優秀なアーチャーだったって聞いた。だったらきっと、俺にも凄い能力があるかもしれない。
成人の儀を終えても、まだその片鱗すら見えてこないけど……。
そういやあ、幼なじみで親友のアルクには先祖に凄い人はいないのに、魔法使いの素質があるとか誰かが言っていた。
だからなのか、あいつはガキの頃から父親に期待されていた。
あそこの親父は妙に威圧感があって怖いんだ。おふくろさんは優しくて綺麗な人だけど、折れそうなくらいに儚い印象がある。
それで家庭は円満だって言うのがどうしても信じられない。
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