転の生-うたてのせい-

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「前世の記憶があるなんて、お前が信じられないのは当然だよ」 「いや、そこもだけど。一番はそこじゃないって」 「え?」 「いや、なにそんな驚いた顔してんだ」  滅びた世界から来たってことの方がびっくりするじゃねえか。  突拍子もない話ではあれど興味があった俺は、時折アルクが話す世界の事をいつも黙って聞いていた。  アルクも一人で抱えている事が苦しいときがあるのか、二人きりのときにぽつりぽつりと話してくれる。  ──人類が滅びた世界から転生してきた幼馴染みは、そこでやり残したことがあるという。  けれど、それをしたとしても何も変わらない。ただ、結果が知りたかっただけだと。  人類が滅びて世界の崩壊が始まり、アルクはもう一人の女性と最後の二人になってしまったらしい。  最後まで生き残ったのは凄いな。 「俺は一度、世界を救った英雄だったから」 「一度……?」  その言い方がなんだか気になった。それを察してかアルクが続ける。
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