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2. 妖精再び
薄暗いキッチン。
ぼくは、「旅行用非常食 」を食べていた。
周囲に、レストランどころか、食料品店も発見できず。
冗談気分で持ってきた非常食が、こんなところで役立つとは。
「 オイシソウ 」
日本語 ?
振り返る。
美しい。
スゴイ透明感。
今日はいったい ?!
え、あ、森の妖精 ?
服装・髪型が一変、が、確かに同じ顔では ?
シャワーを浴びた直後 ?
長い黒髪が少し濡れてる感じが。
「 それ、どこで買われたんですか ?
いくら探しても、お店とか見つからなくて 」
「 この辺で買ったんじゃないんだ。
日本から非常用に持ってきていて 」
いっしょに食べようと言うべき ?
いくら空腹でも、ぼくの食べかけはイヤでは。
「 夕食、それで足りますか ?」
もちろん足りない。
が、そう答えると、足りないから君には分けないの意にも。
「 丘から見えたホテルへ行ってみようと思うんです。
なかに、レストランもあると思うので。
でも、一人だと心細くて。
ごいっしょしていただけませんか ?
もちろん、支払いとかは、わたしが 」
「 行きましょう 」
即答。
ぼくの後に到着した宿泊客なのは間違いない。
妖精でなく人間ならビビることもないわけで。
というか、こんな美人とホテルで食事とか。
しかもオゴルとの申し出、断るとかありえない。
さすがに、女性におごってもらう気はないが。
「 じゃ、すぐ着替えてきますから 」
着替える必要がある ?
それ以上美しくなってどうする気 ?
と思いつつ、一応ぼくも着替えることに。
田舎とはいえ、ホテルのレストランで食事。
彼女に恥ずかしい思いはさられないので。
ヒロイン、三度目の登場。
スカート姿、髪は後方で結んで。
ナルホド。
何がなるほどなのか、説明はできないが。
それにしても、服装・ 髪型でほぼ別人に。
三姉妹とか言われても信じてしまいそう。
ホテルは、思ったより、かなり遠かった。
丘の上からは、すぐそこのように見えたのだが。
バス道路までの道は、ほとんど真っ暗。
オオカミや山猫とかまでが出てきそう。
ここに到着した時は、ウサギが遊んでそうに思えたが。
確かに、これでは、男でも一人で夜歩くのは心細い。
でも、今は二人なので。
しかも、全く人影無く、完全二人きり。
シャンプー ?
彼女から、ほのかな香りが。
もう、ドッキドキ。
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