神と仏と廃墟の裸婦像

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 確かに俺はやんちゃだったし、暴走族の総長だった。警察にパクられたことだってある。だけど神様、この仕打ちはあんまりだ。俺はこの境遇に嘆きつつも、目の前の裸婦像のことを思った。ただの銅像のくせに何だか愛着が湧いてきた。そりゃいつも一緒にいるようなもんだから、愛着も湧くんだろうが。 「あァ、どうか神様。俺のことはいいから、こいつの身体だけでも綺麗にしてくんねェかな。頼むよ、お願いだァ」  あれだけ自分のことしか考えていなかったのに、こんな裸婦像なんかのことを考えるようになるなんて、俺は自分でも驚いた。  しかし神が俺の願いを聞くことは決してなく、裸婦像はその夜、地元の悪ガキどもにハンマーでバラバラに破壊されてしまった。 「なんてこったァ。しかもあいつらって、俺の後輩たちじゃねェか。てか、お前らァ。まだこの峠で走ってやがったのかッ」  俺はまさかの事態に頭を抱えた。 だが悪ガキどもは裸婦像をぶっ壊したあと、俺に近づいてきて、花と「セッタ」(※セブンスターの略・煙草の銘柄)を手向けた。ガキの一人が「セッタ」を吸いながら、俺の話をする。 「お前らァ……。俺のこと、覚えてくれてたんだなッ」  あれからどれだけ夜を重ねたか分からねえが、この時はじめて、俺のことを思ってくれる人たちに出会った。
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