遅刻の神様に願いを。

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 教室の扉を閉め、肩を落として廊下をトボトボと歩く。  ……すると。 「おや? 今日は『ダメ』だったようじゃな」  僕の前方でニヤニヤ笑いながら壁に寄りかかっている男がいた。 「だ……誰? ああ! さっきの『宮本武蔵』じゃないか!」  それは、さっき僕に問答無用で斬りかかってきたヤツだ。 「何で突然僕に斬りかかって来たんだよ!」  僕が文句を言うと。 「何を言っておる。お主が神に願ったのではないのか? 『遅刻のネタをくれ』と。だからこうして現れてやったのだ。大サービスだぞ?」 「え……それで、どうしてアナタがここに?」  意味が分からず尋ねると、『宮本武蔵』が僕に近寄ってきて「何だ、知らんのか」と言いながら耳元で囁いた。 「宮本武蔵は、『遅刻の神』じゃ」 完
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加