遅刻の神様に願いを。

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 えぇっと、今週は何のネタをやったんだっけ……?  必死に思い出す。 『パンクシーに頼まれて一緒に画材屋を探してました!』  は、パンクシーの壁画アートを知っているヤツがギリギリ半数に達して助かった。 『2時間ほど異世界に召喚されたらパーティに追放されて後になってから『お前がいないと成り立たない』と言われたけど『もう遅い』と言って断っていたら遅くなりました!』  と言った時には「あー……あるね、そういうラノベのタイトル」と、皆んなの反応がビミョーだったのだが、担任が「よし分かった。ならその2時間分の探検旅行記を今日中に書いて提出しろ」と助け舟?を出してくれて何とかなった。  だが今日は調子が悪い。校門に辿り着くが、どうにもこうにもネタが出てこない。無理矢理考えてもみるが、どれもこれも過去に使ったネタばかり。流石にこれが限界か……っ!     そう言えば昔、親父が言ってたっけ。「人間、何かを始める時は簡単だけれども、終わるのは難しいものなんだ」って。  もしかして僕は心の中で甘えていたんじゃないんだろうか。『ネタさえあればどうにか逃げ切れるんだ』って。……まさかネタ切れになるだなんて、思っても見なかった。……安易なネタバトルに走らなければよかったとつくづく思う。  ああ、神様……遅刻の神様なんての居るのか居ないのか知らないけれど、日本には八百万の神がいるそうだから、遅刻の神が居たって悪くはないだろう。どうかお願い致します。この僕に……『遅刻理由のネタ』を……っ!  と、その時だった。  突然、僕の背後から雷のような怒鳴り声が聞こえてきた。 「そこのお主っ! 待てぇぇいっ!」 
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