81人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま、せいぜい頑張って手に入れてね」
「な……何を?」
「私っ!」
絶句する俺を余所に、美琴ちゃんは「じゃーね」と手を振って参道を跳ぶように駆けていく。
「待っ……! ねぇ! 俺達、何があったの!?」
大声で問いかけても、彼女は振り返りもしない。
ほんの一瞬。
美琴ちゃんのスカートのお尻辺りに、白くて長いふさふさとした尻尾が見えたような気がして。
「!?」
幻覚かと目を擦ってるうちに、その姿は、跡形もなく視界から消えてしまっていた。
「どういうことだよ……」
俺の思考回路は、ショートどころか完全停止状態。
“狐につままれる“とは、まさにこの事。
お、なかなか上手いこと言っちゃった。
――――じゃなくて!!
俺は猛ダッシュで拝殿の前までやってくると、境内に響き渡るほどでかい音を立てて柏手を打った。
「神様、お願い! 時間を戻してっ!!
ついでに美琴ちゃんとチューさせてください!!」
ん?
俺……なんか、間違ってる?
\おしまい/
最初のコメントを投稿しよう!