神頼みなんて、いたしません!?

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 パン、パンッ!  すぐ隣で、乾いた音が響く。  やたら気合いの入った豪快な二拍手。音の主は、クラスメイトの美琴(ミコト)ちゃんだ。  やばい。これ、聞いちゃっていいんだろうか……。  そこはかとない罪悪感。  だけどそれをかき消すほどの、圧倒的好奇心。    事の発端は、昨日の放課後に遡る。 「ねぇ。大和(ヤマト)くんのお家って、神社なんだって?」  帰り支度をしていた俺の机の前に、突然、誰かがしゃがみこんだ。 「みっ、ことちゃ……ングッ」  驚いた勢いで、口の中に放り込んだばかりのまだ固いガムをゴクリと飲み込んでしまった。  だって。  上目遣いで俺を見上げてくるその人は、他でもない、俺の片想いの相手・美琴ちゃんだったから。 「あ、あぁ、そうだけど」  冷静を装いつつも、思考回路はショート寸前。  まさか美琴ちゃんから俺に話し掛けてくるなんて!   なんか、ほんのりいい匂いまでしてくる。こんなに近い距離で話したのは、間違いなく初めてだ。   「そしたら、明日の放課後、大和くんちにお邪魔してもいい?」 「へっ!?」  お、俺んち!? え、俺の部屋!?  いやいや言ってないってそんなこと! バカか俺っ!  テンパりMAXな俺の内心など露知らず、 「実は私……神様にお願いしたいことがね、あるの」  そう言って少し頬を赤らめた美琴ちゃん。  あぁ、破壊的可愛さ。  読点の位置まで最高。 「いいよ、もちろん! 案内するよ」    俺は大きく頷いて、二つ返事でOKした。  美琴ちゃんのお願い事。一体、なんだろうか。  ……気になる、すごく。  
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