神頼みなんて、いたしません!?

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「これでよし!」  美琴ちゃんは最後に拝殿に向かって一礼すると、制服のスカートをひらりと揺らして振り返った。  放心状態の俺には気づく様子もない。タンタンと軽快な靴音を鳴らしながら、ご機嫌に階段を降りていく。 「あ、待っ……待って」  俺はハッと我に返って、慌てて美琴ちゃんのあとを追いかけた。  さっきのは…………なんだったんだ……。  確かに、“大和くん”って聞こえた。大和って名前……俺以外いないよな。  え、ホントに?  美琴ちゃん、俺のこと好きだったの!?  にわかには信じがたい。  だけど、俺のこの力が確かにそれを証明してる。  全身が一気に熱くなった。  夢みたいだ……。  俺も、美琴ちゃんのことが入学したときからずっと好きだった。  可愛くて、明るくて、天真爛漫で。  優しくて、可愛くて、とにかく可愛い!  こんなの、浮かれるしかないじゃないか。  だって……まさかの両想いだ。  中の中のど真ん中な俺と――なんて、天地がひっくり返ってもあり得ないと思ってた。 「ありがとね、大和くん。……叶うといいんだけど」    ……っ、叶うよ!  なんなら、今すぐに!!!  緊張と動揺でカラカラの喉を、生唾を飲み込み辛うじて潤す。  俺はありったけの勇気を振り絞って、その背中を呼び止めた。 「美琴ちゃん!!」  俺、俺も、君のことが――――  その瞬間。  頭の中に、死んだ爺ちゃんのある言葉が蘇った。  
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