プロローグ

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

プロローグ

歓楽街。 とあるラブホテルの駐車場。 黒いミニバンの運転手である男は 仕事を済ませたデリヘル嬢を待っていた。 車に乗り込んだ女に男は 「お疲れ様。」 目を合わさず頷いた女は 「ありがと。」と応える。 車は女の自宅へ走り出した。 途中、電子タバコの充電が切れた女が ため息をつき男に聞く。 「ねぇ、なんか無いの?」 「なんかって?」 「マリファナとか」 「コカインならあるよ」 「いや、そんなハードなのじゃなくて…」 男は少し溜めて言った。 「《エル》って知ってるか?」 「LSDのこと?」 「系統は一緒かもしれない。けど、また別もんだよ。」 車はしばらく走った後に 人気のない路地で停まった。 男はポケットに入れていた錠剤を取り出す。 「これが《エル》だ。」 「LってラムネのLなの?」 女は笑って言ってみせる。 「やってみれば分かるさ。これのヤバさがね。」 男は《エル》を女に手渡した。 「先に行ってくれ。俺は後から行くよ。」 女は男の言葉を理解出来なかったが 躊躇なく《エル》を飲み込んだ。 「なに、これ…」 女の意識が遠のいていく。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!